電場の概念の誕生と進化
○ニュ−トン力学:
「幾何学的空間の中の粒子の運動」
力の遠隔作用説(直達説),力の伝達速度は無限大
電荷 ⇔ 電荷
◎ファラディの大胆な着想: 1)、2)
「電磁気現象は電気や磁気を持つ物体が引き起こす,
周囲の物理空間の状態変化に他ならない」
電荷 ⇔ 電場 ⇔ 電荷
(物理空間の状態変化)
力の媒達説,[伝達速度は有限(=光速度)]
なぜ,力の代わりに電場を考えるか?
力:力の源となる電荷QA(とそれらの分布)と力をうける電荷QBの
両方を明確にする必要あり.
電場:力の源となる電荷QA(とそれらの分布)を直接に知る必要も, 電荷QBも初めに
考えなくてもよい.
静止電荷の場合には,どちらの考え方も見かけ上同じ.
運動している電荷の場合,その運動にいちいち対応して考えることは困難.
しかし,電場の場合,問題にする点の電場の変化だけを知ればよい.
∴ 電場の考え方の方がより一般性がある.
⇒ マックスウエルによる電磁波(=光)の予言,
ヘルツによる実証
電磁場の実在性 新しい自然観(電磁気学的自然観), ひとつの革命
空間の状態変化を媒介とした力の伝達
力学的運動(位置の変化)と電磁気的変化(電波の発生)
場の概念成立の前提:
1)”状態”の不変性;追加的な電荷QBをもちこんだとき,
もとの 電荷QAが作る電場や,電荷QAの位置に変化はないこと.
2)重ね合わせの原理:電荷Q1,電荷Q2,・・・ は相互に影響を与えずに,
単に加え合わされるだけである.
電磁気学(場の古典論)1860年代
==>力を媒介する空間そのものは何か?(”エ−テル”)
アインシュタインの特殊相対論(1905年)
↓ ミクロな世界への適用(場の量子化):場の量子論(1930年代)
現代の自然観:量子化された場の一元論 3,4)
電子,陽子などの粒子もそれぞれの粒子の場の励起状態
物質の存在,それ自身が場の一つの状態
参考文献
1.福島 肇「物理学ABC-光学から特殊相対論まで-」、講談社ブルーバックス、B606
第4章
2.ヨセフ・アガシ「科学の大発見はなぜ生まれたか」、講談社ブルーバックス、B606
pp.184-265
3.佐藤文隆、「宇宙論への招待ープリンキピアとビッグバンー」、岩波新書、赤480(1988年)
pp.184-194
4.町田 茂、「量子の反乱ー自然は実在するかー、学習研究社、1994年。
九工大図書番号=429.1, M-37
第12章