量子力学  Quantum Mechanics  最終更新日:2020.8.31

九州工業大学工学部  第3、4年次 前学期 選択 2単位
              担当(非常勤講師)  岡本 良治
 1.目的

近年、エレクトロニクスや物質工学の基礎および応用
  の分野において、量子力学の果たす役割はますます重要
  になってきている。さらに、情報科学との融合領域とし
  て量子コンピューターや量子暗号などの理解や応用のた
  めに必要不可欠である。本講義ではさまざまな局面で量
  子力学をいかに適用するかを中心として、量子力学の基
  礎的理解の徹底をはかる。

2.勉強の仕方

 この講義ホームページの利用法:各章の要約→例題→詳しい解説(*印ファイル)

(*)印のファイル:
  やや詳しい解説なので、難しいかもしれないので、1回目は勉強する必要はありません。
  2回目以降の勉強のときか、簡単な解説に不満な人や、興味 がある人は勉強して下さい。

 

予習・復習など学習の仕方についてのアドバイス:

1)  まずは大まかに捉えるべし

2)  きちんと手順を踏んで覚えるべし

3)  何度も失敗を繰り返し覚えるべし

    (池谷裕二「記憶力を強くする」講談社、ブルーバックス、2001. P.139.より)

3.講義関連の通知と講義資料

202057日からのオンライン講義(九工大・学習支援システムMoodleを通じて)の実施により、従来とはかなり異なる事態が想定されるので、随時,対応せざるを得ない(2020.5.12

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-- 試験----------------

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参考:なぜ物理学を勉強するか 

1)量子力学の序論-量子力学の歴史,数学的準備―

(要点)量子力学の序論 

   エルミート行列などについての解説は

準備:線形代数学入門 を参照のこと

 (完全)直交規格関数形についての解説は数学入門を参照のこと

 

量子現象と古典物理学の破綻
光電効果と光子説

物理量に対応する演算子とシュレディンガー方程式の「導出」 
量子力学を学習するべき理由と意義

量子力学の誕生と進化

人は外界の事物を「直接に見ている」か?

(参考リンク)
シュレディンガー音頭 
解説:物理学における文字と、文字式の意味
 

(*)解析力学におけるハミルトンの運動方程式(ハミルトン形式)の役割
 

2)
量子力学の基本法則(1),(2)

(要点)量子力学の基本法則 

詳しい解説(*)量子力学の基本法則(1)    

  参考:粒子性と波動性について
    「高校生のための量子力学」http://www008.upp.so-net.ne.jp/takemoto/ryoshiron.html

例題:自由粒子に対するシュレディンガー方程式の導出 

            
例題:演算子の固有関数と固有値  
例題:座標演算子と運動量演算子 の交換関係 
例題:2準位系の固有値問題
  
例題:引力的相互作用の縮退した2準位系の固有値問題(1) 
例題:斥力的相互作用の縮退した2準位系の固有値問題(2)
 

波動関数を上図(鉛筆書き風に)入力するとした図に確率密度が描かれる推奨リンク)
 http://phys.educ.ksu.edu/vqm/html/probillustrator.html

 例題:波束と群速度
 

(*)英語による量子力学入門(推奨リンク)
 http://www-theory.chem.washington.edu/~trstedl/quantum/quantum.html#Tunneling

(*)量子力学の基本法則(2)
    演算子の行列表現、シュレディンガー方程式の行列表示など
(*) 図:状態ベクトルとその射影(波動関数)
 

(*)デイラックのブラケット表示(ベクトル、行列、関数に対して)
 

3) 1次元系の量子力学

要約:1次元無限量子井戸系における量子力学の基礎概念 

詳しい説明(*)1次元系の量子力学   

                       

3.11次元無限井戸型ポテンシャル

例題:無限量子井戸のド・ブローイの物質波の定在波条件による解法 

例題:無限量子井戸における量子化エネルギーと光子の波長 

例題:量子効果と熱エネルギーの比較  

例題:無限量子井戸型ポテンシャル系のエネルギー固有値  

例題:無限量子井戸型ポテンシャル系の波動関数の直交規格性    

例題:無限井戸型ポテンシャルに対するシュレディンガー方程 式の解(0) 

例題:無限量子井戸ポテンシャルに対するシュレーディンガー方程式の解-エネルギー量子化 

例題:無限量子井戸ポテンシャルに対するシュレーディンガー方程式の解-波動関数の直交規格性 

例題:対称ポテンシャルの下における波動関数の偶奇性

例題:左右対称な一次元無限大ポテンシャル箱 

例題:無限井戸型ポテンシャルに対するシュレディンガー方程式の解(2)
例題:無限量子井戸型ポテンシャルにおける期待値,不確定性関係の計算 

例題:無限井戸型ポテンシャル系の第2励起状態における位置座標の期待値 

例題:無限井戸型ポテンシャル系の第1励起状態における運動量の期待値 

例題:無限井戸型ポテンシャル系の第1励起状態における位置と運動量の不確定性関係の計算 

 

 

*3.2) 1次元有限井戸型ポテンシャル

 

*(3.3) 自由粒子

例題:周期的境界条件の下の自由粒子 

 

3.41次元調和振動子

要約:1次元調和振動子 

詳しい解説1次元系の量子力学

例題:調和振動子の波動関数からのポテンシャル、エネルギーの推定  

例題:調和振動子の波動関数からエネルギーの推定  

例題:調和振動子系における不確定性関係 

例題:調和振動子系の昇降演算子による解法 

例題:調和振動子系の昇降演算子による波動関数の推定 


3.5)量子反射と量子トンネル効果
(確率流れ密度に関連する予備知識、連続方程式について予習が必要な人は、
  (旧)
物理学IIAのホームページ、電流と抵抗の項(徐々に追加)を参照のこと。) 

(要約)量子反射と量子トンネル効果 

(解説)量子反射と量子トンネル効果 

 

<存在確率の保存則と確率流れ>

例題:存在確率の保存則 

例題:確率流れ1 

例題:確率流れ2 

 

<階段状ポテンシャル障壁による量子反射>

例題:階段型ポテンシャル障壁の反射と透過(入射エネルギーが障壁より低い場 合)  

例題:階段型ポテンシャル障壁の反射と透過(入射エネルギーが障壁より高い場 合)  

 

<量子トンネル効果>

例題:量子トンネル効果の透過率の近似的表現 

例題:矩形(長方形)ポテンシャル障壁におけるトンネル効果(透過係数)(1)    

例題:矩形(長方形)ポテンシャル障壁におけるトンネル効果(透過係数)(2)   

 

4) 2次元系の量子力学
要約:2次元系の量子力学
 

(*)説明:2次元系の量子力学 
例題:2次元量子箱
 

例題:2次元調和振動子 

例題:2次元における角運動量(pdf file
例題:2次元回転子のエネルギー

 

5) 3次元系の量子力学(軌道角運動量と球対称ポテンシャルを含む)
要約:3次元系の量子力学 
 

要約:量子力学における軌道角運動量 

(*)説明;3次元における量子力学 

例題:3次元角運動量演算子の正準交換関係の証明 

例題:3次元角運動量演算子と2乗演算子との交換関係 

例題:3次元角運動量の昇降演算子の交換関係 

例題:軌道角運動量の表現行列の導出 

 

6) 水素原子および水素状原子

要約:水素原子の量子力学 

(*)説明:水素原子の量子力学 

例題:水素原子のボーア半径と基底状態のエネルギーの計算 

例題:不確定性関係の適用(水素原子の基底状態エネル ギー近似計算) 

題:水素原子の基底状態における電子の最大存在確率を与える「半径

例題:水素原子の基底状態の波動関数とエネルギーの推定 

) スピン, 一般化角運動量、角運動量合成

要約:スピン、一般化角運動量、角運動量の合成 

(*)説明;スピン、一般化運動量と角運動量合成 

(*)スピン軌道相互作用の起源と実例 

例題:スピン演算子の性質1 

例題:スピン演算子の性質2   
(*)例題:スピン演算子の行列表現の導出(1)
(*) 例題:スピン演算子の表現行列の導出(2

例題: 電子の軌道角運動量、スピン角運動量の合成 

 

) 近似法1(摂動論)

解説:摂動論 

補足的解説:電気双極子と磁気双極子 

例題:2準位系における厳密解からの近似 

 

例題:無限井戸型ポテンシャル系への摂動1(1次のシュタルク効果) 

題:無限井戸型ポテンシャル系への摂動2 

題:摂動としてのスピン軌道結合エネルギー 

説:周期的に変動する外力をうける2準位系ーRabi振動システム 
例題:電荷を持つ1次元調 和振動子に対する時間依存する 電場の摂動 

9)近似法2(変分法)
解説:変分法とその量子力学への応用 2020.8.12加筆修正

例題:1次元調和振動子の基底状態の変分計算   

例題:水素原子の基底状態の変分計算(1)指数関数型試行 関数 

例題:水素原子の基底状態の変分計算(2)ガウス関数型試行 関数  

10) 電子と電磁場との相互作用

要約:電子と光(電磁場)との相互作用 

1) 多粒子系
要約:多粒子系の量子力学  

解説:多粒子系の量子力学入門 2020.823新規

参考:場の量子論入門 2020.831新規

 

例題:相互作用する2粒子系の運動自由度の分離 

例題: 2電子のスピン角運動量の合成 

例題:2次元等方調和振動子の中の多電子系の縮退 

例題:同じ向きスピンをもつ2電子状態の表現と意味 

例題:逆向きスピンをもつ2電子状態の表現 

12)作成中:原子と分子の量子力学入門

要約:多電子原子の量子力学入門 

 

要約:スピンに依存する有効相互作用の発現と化学結合のしくみ

例題:スピン相互作用1 

例題:スピン相互作用2

 

13計画中ー:結晶中の電子―エネルギーバンドー
14
)計画中ー散乱問題

 波束の散乱シミュレーション(リンク) http://phys.educ.ksu.edu/vqm/html/wpe.html

3.評価方法

  中間試験(30%),期末試験(40%)、演習レポート(30%)

4.履修上の注意

  本講義が十分理解できるためには、基礎量子力学、を修得していることが
  望ましい。

●教科書

特に,指定しないが,このホームページの各章の要約,解説,例題を教科書的に用いる.

●参考書; 3-)は現代的動向も含む印象的な本

1)鈴木克彦「シュレディンガー方程式―基礎からの量子力学攻略」共立出版,2013年.

2)岡本良治「スピンと角運動量―量子の世界の回転運動を理解するために」共立出版,2014年.

 3)原田勲・杉山忠男:量子力学I, II(講談社)

 4)上田正仁:現代量子物理学,(培風館)

 5) 堀裕和:電子・通信・情報のための量子力学,(コロナ社)

 6)北野正雄:量子力学の基礎,(共立出版)

 7)  D.R.ベス:現代量子物理学入門,(丸善プラネット)

 8)M. A. Nielsen, I. L. Chuang; 量子コンピュータと量子通信I ,(オーム社).

特に,2章.

(追加)
  小暮陽三「なっとくする演習・量子力学」(講談社)
         九工大図書館蔵(図書分類番号:K429.1, K-53, a-c

  P.R.ウォレス、「量子論にパラドックスはない」(シュプリンガー・ フェアラーク社) 
         九工大図書館蔵(図書分類番号:429.1, W-22
        
           非常に刺激的でかつ説得力のある本。

 (量子力学を絵で説明した本)
  佐藤?監修「図解雑学ー量子力学」(ナツメ社)
    九工大図書館蔵(図書分類番号:429.1,S,a

  佐藤勝彦監修「図解雑学ー量子論」(ナツメ社)
    九工大図書館蔵(図書分類番号:429.1,S−42,a、b)

  都筑卓司「絵でわかる量子力学」(オーム社)
    九工大図書館蔵(図書分類番号:429.1,T-23,c
 
    
小暮陽三「絵でわかる量子力学」(日本実業出版社)

  五十嵐靖則「量子論の世界がわかる」(ベレ出版、2003年)

 (入門書、解説書)

  並木美喜雄「量子力学入門-現代科学のミステリー-」(岩波新書、1992年)
    九工大図書館蔵(図書分類番号:429.1,?)

  町田 茂「量子力学の反乱」(学習研究社、1994年)
    九工大図書館蔵(図書分類番号:429.1,?)

  町田 茂「量子論の新段階」(丸善、1986年)
    九工大図書館蔵(図書分類番号:429.1,M-31

(ハイテクと量子力学の関係についての解説書)
  M.Y.ハン「ミクロの世界の主役たち-ハイテクにひそむ量子を探る-」(マグロウヒル社、1991年)
 
    九工大図書館蔵(図書分類番号:429.1,H-35

   日本物理学会編「量子力学と新技術」(培風館、1987年)
 
    九工大図書館蔵(図書分類番号:429.1, N-16

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(量子力学の草創期に大きな役割を果たしたが、晩年まで否定的態度を続けたアインシュタイン
 の参考文献の一部)

 アインシュタイン関係写真集:杉本賢治「アインシュタインアドベンチャー」(現代数学社)
              九工大図書館蔵(図書分類番号:420.2/S-11
 アインシュタイン関係:中本静暁「関門・福岡のアインシュタイン」(新日本教育図書)
              九工大図書館蔵(図書分類番号:289.3/N-4